難問奇問数学自作問題16-ルーローの三角形の軌跡-

「一辺の長さが1の正三角形ABCに対し、頂点Aを中心とする弧BC、頂点Bを中心とする弧CA、頂点Cを中心とする弧ABを描く。これらの弧によって囲まれた図形を、直線  { \displaystyle l} の上に置き転がすことを考える。最初の時点では、直線  { \displaystyle l} に垂直に頂点A、Bがあり、Bが { \displaystyle l} に接しているとする。この状態から  { \displaystyle l} に接しながら右に図形を回していき、同じ配置に戻るまで動かす。このとき、頂点Aの軌跡の長さを求めよ。」

 

考え方のポイントは、
① 定幅図形(ルーローの三角形)

② 軌跡(の一部)を媒介変数表示で求める

 の2点。

 

②でうまい座標のとり方が出来るかがカギ。回転角を  { \displaystyle t} とおけば、動いた分の弧の長さを表すことができる。

長さを求める際の積分は難しくないので解答は省略。

 

ルーローの三角形は定幅図形の一種で、平面上のどの角度から見ても、幅(径)が変わらない特徴をもつ。このため、以下のようにたくさんの実用例がある。

ロータリーエンジン

・マンホールの蓋

・ロボット掃除機

・ドリルの先

円ももちろん定幅図形であるが、周の長さに対して面積を最大にする図形である。一方、このルーローの三角形は面積を最小にする図形である。また、円を転がしても重心の高さはずれないが、ルーローの三角形はそうではない。

ちなみに、同様の考えでルーローの5角形、7角形...もできる。また、立体にすればルーローの四面体もできるが、こちらは定幅図形とはならない。