大学入試数学難問3-合同式の利用-
「 の桁数と、1の位の数を求めよ。ただし、 を用いても良い。」
(東大前期1989)
以下、考え方兼略解。
考え方のポイントは、
①合同式による解法、
②二項展開を利用できるか
の2つ。
では、略解を記載する。
まずは、桁数を求めよう。
より
を得る。よって、200桁ということがわかる。
1の位はどうか。整数問題で1の位を求める時は、合同式を用いることが多い。なので、①のポイントには皆気づくはず。しかし、この問題は、対象とする式が整数ではなく分数であるため、合同式の適用を難しくしている。
そこで、②のポイントに気付けるかどうかが重要となる。合同式が使えるには、分数を無理くり”小数”の表示にし、整数部分と小数部分を分離する必要がある。
そこで、 とおいて、 に関する展開を考える。
\begin{eqnarray*} (題意の式)&=&\frac{(a-3)^{21}}{a}\\
&=&\frac{a^{21}-21\cdot 3\cdot a^{20}+\cdots+21\cdot 3^{20}\cdot a-3^{21}}{a}\\
&=&(a^{20}-21a^{20}+\cdots+21\cdot3^{20})-\frac{3^{21}}{a}.\end{eqnarray*}
2行目では二項展開を用いた。
3行目の一項目に注目すると、 なので、
\begin{eqnarray*} (一項目)&=&3^{20}-21\cdot 3^{20}+\cdots+21\cdot3^{20}\\
&=&3^{20}(1-21+\cdots+21)\\
&=&3^{20}((1-1)^{21}+1)\\
&=&3^{20}\\
&=&(-1)^{10}\\
&=&1\ (mod 10)\\
\end{eqnarray*}
を得る。ここで、3行目では二項展開の逆を用いた。4行目では を用いた。よって、一項目の1の位は1になる。
次に、二項目を考える。 を用いると、
\begin{eqnarray*} (二項目)=1.04\cdots\end{eqnarray*}
なので、適当な自然数 を用いれば、
となり、1の位は9であることが示された。