難問奇問数学自作問題4-作図問題だって大学入試に出うる?-

「いま、紙面上に長さがそれぞれ  { \displaystyle a,b\ (a\gt b)} の2つの線分が記載されている。これを元に、以下の長さの線分を同紙面に図示せよ。ただし、使用できるのは定規、コンパス、筆記具のみとする。

(1)  { \displaystyle \frac{a+b}{2}} 

(2)  { \displaystyle \sqrt{ab}} 

(3)  { \displaystyle 2(a^{-1}+b^{-1})^{-1}} 」


以下、考え方兼略解。

考え方のポイントは、
① 平方根があるので三平方の定理を使う? 
② 分数が出てくるので、図形の相似を利用するのか?
と考えれること。

 

では、略解を記載する。

 (1)は相加平均を表す。 { \displaystyle a+b} 長さの線分を作り垂直二等分線を引けば終了。

 (2)は相乗平均を表す。まずは三平方の定理を利用して作図してみよう。

 { \displaystyle ab=(\frac{a+b}{2})^2-(\frac{a-b}{2})^2}

と表せるため、斜辺を  { \displaystyle \frac{a+b}{2}}、残り2辺を  { \displaystyle \frac{a-b}{2}, \sqrt{ab}} とする直角三角形が存在する。よってこの三角形を図示すれば良い。また、直角三角形は斜辺を直径とする半円に内接することを利用する。(1)の線分を直径とする円を描く。直径の一方の端点を中心に、 { \displaystyle \frac{a-b}{2}} の長さを半径とする円をコンパスで描く。得られた交点と、直径の他方の端点を結べば、題意の線分が得られる。

 次に、方べきの定理を利用して求めてみよう。 { \displaystyle a+b} を直径とする円を描く。直径を左から { \displaystyle a,b} の長さに分ける点Pをとり、直径に垂直な直線を引く。円との交点とPを結ぶ線が題意の線分である。 

 (3)は調和平均を表す。式変形すると

 { \displaystyle (a^{-1}+b^{-1})^{-1}=\frac{2ab}{a+b}=\frac{b}{2}\times \frac{a}{a+b}}  

となるので、 { \displaystyle a:a+b} の相似比を持つ三角形を利用する。

まず、 { \displaystyle a+b} の線分(以下線分AB)を書き、左から { \displaystyle a} の点をPとする。点Aから  { \displaystyle b/2} だけ離れた点Qを、AQがABに垂直になるようにとる。Pを通ってBQと平行な直線を引き、AQとの交点をRとする。

この時、三角形AQBと三角形ARPは相似であるため、

AR=  { \displaystyle \frac{b}{2}\times \frac{a}{a+b}}  

となり、題意の線分を得る。