難問奇問数学自作問題23-積分方程式と隔世遺伝-

微分可能な  { \displaystyle f(x)=\frac{x^2}{2}+\int_{0}^{x}(x-t)f(t) dt} について以下の問いに答えよ。

(1)  { \displaystyle g(x)=f(x)+f'(x)+1} とおく。このとき、 { \displaystyle g(x)=0} となることを示せ。   

(2)  { \displaystyle f(x)}  を求めよ。」

 

考え方のポイントは、 

積分方程式はとりあえず微分する

②   { \displaystyle g(x)=f(x)+f'(x)+1} 以外の「都合の良い」関数を探す

である。

解答の流れを説明する。

まずポイント①に従い、与えられた方程式を1回、2回と微分する。すると、隔世遺伝のように、微分すれば「親の関数」が再び出現することがわかるだろう。これを用いれば、(1)の関係を示すことができる。ちなみに、 { \displaystyle g(x)=f(x)+f'(x)+1} は定数になるため、「保存量」と呼ぶことがある。数学や物理では、難しい方程式をいきなりとくのではなくて、まずは「保存量」を探すことから始まることが多い。(1)のように、保存量は式の性質から簡単に見つかる場合があるためである。

 次に(2)をどう解くか。 { \displaystyle g(x)=f(x)+f'(x)+1} 以外に都合の良い関数 { \displaystyle h(x)} はないだろうか。もしこれが見つかれば,  { \displaystyle g(x),h(x)} を連立させて解を求めることができそうである。