難問奇問数学自作問題70-一般化平均〜こんなの私が知ってる平均じゃない!-

 { \displaystyle n} 個の正の実数  { \displaystyle x_1,x_2,...x_n} がある。これらの平均としては、相加平均  { \displaystyle M_1=\frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}x_i}や、調和平均  { \displaystyle M_{-1}=\frac{n}{\sum_{i=1}^{n}x_i^{-1}}}、相乗平均  { \displaystyle M_0=(x_1 x_2...x_n)^{1/n}} などがある。これらの平均を一般化したものとして、一般化平均  { \displaystyle M_m=\left(\frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n} x_{i}^m \right)^{1/m}} が知られている。確かに、 { \displaystyle M_m} において  { \displaystyle m=1,-1} とすれば相加平均及び調和平均に一致することがわかる。一方、  { \displaystyle m=0} が相乗平均になることは自明ではない。そこで、以下の問題に従って証明を行おう。以下では、 { \displaystyle m=0} 付近に興味があるので、 { \displaystyle 0\leq m \leq 1} を考えることにする。 

(1) 正の実数  { \displaystyle a} に対し、  { \displaystyle 1+m log(a)\leq a^{m}\lt 1+m log(a)+\frac{m^2}{2}(a+a^{-1})(log(a))^2 } が成り立つことを示せ。

(2) 正の実数  { \displaystyle b,c} に対し、 { \displaystyle lim_{m \to 0}(1+bm+cm^2)^{1/m}} を求めよ。

(3) (1)、(2)を用いて、 { \displaystyle lim_{m\to 0}M_m=(x_1 x_2...x_n)^{1/n}} となることを示せ。これにより、相乗平均が一般化平均で  { \displaystyle m=0} としたものであることが証明された。」

 

意欲的な人は、いきなり(3)に取り組んでほしい。

(1)は、 { \displaystyle m} に関する不等式とみなして微分を用いて示せば良い。右辺になぜ  { \displaystyle a^{-1}} があるのか、しっかり考えてほしい。

(2)では、対数をとって評価するのが良いだろう。

(3)は総決算の問題。まず(1)で  { \displaystyle a\to x_i} とした上で和をとる。すると、(2)との対応で、何を  { \displaystyle b,c} とおけば良いかわかるだろう。最後に挟み撃ちの原理を使う。

 

大学数学では、高校で習った公式や定義をより普遍的なものに一般化する内容が扱われたりする。例えば、本問の一般化平均もその一つである。 従って、平均一つにしても多様な種類があり、問題に応じて”適した”平均を選択する必要がある。