難問奇問数学自作問題96-無限小数の有理数は循環小数-
「以下の問いに答えよ。
(1) 無限小数となる有理数は循環小数になることを示せ。ただし、循環小数とは、ある桁から先で同じ数字の列が無限に繰り返される小数のことである。
(2) 自然数を小さい順に 個並べてできた小数を考える。例えば、となる。
(a) をを用いて表せ。
(b) は無理数となることを示せ。」
チャンパーノウン定数が無理数になることの証明。(1)で有理数の無限小数=循環小数であることが示せるので、(2)(b)ではが循環小数であると仮定して背理法で証明すると良い。いずれにせよ、あまり受験者が慣れてない証明問題である。また、(2)(a)の漸化式計算だけでもそれなりに難しい。
以下、考え方を説明する(正式な解答はもっと丁寧に)。
(1)では、まず無限小数の有理数をとおき、 の商を、余りをとする。の商を、余りを、の商を、余りを...というように商と余りを構成していくと、有理数は以下のように小数表示できる。
これが無限小数になるので、。で割った余りなので、となる。つまり、となる。従って、個の余りのセット中には少なくとも2つ以上の同じ余りがある。ひとたび同じ余りが出れば、その後のは同じ繰り返しとなるので、循環小数となる。
(2)(a)では、漸化式を立てて一般項を求めれば良い。
(2)(b)は有理数として背理法で行う。有理数と仮定すると、(1)の結果よりは循環小数となる。これで矛盾を示せば良い。(1)の結果より、循環小数の位数(循環するセットの構成数)は、以下になることがわかる。
①位数が1で循環するセットが1のみ、②循環するセットに1以外の数字も入っている場合の2つに場合分けする。さて、には、1が並んだ後に2がくる数字111...12が何回も出現するが、ここで必ず①、②の両方の場合とも循環が途切れることとなる。こうして矛盾が示される。