難問奇問数学自作問題55-内積と外積とジャロシンスキー守谷相互作用-
ポイントは、積和公式を使いまくること。それに気づけば難しくはない。
上記の関数は、カイラル磁性体と呼ばれる磁石の一種の簡易モデルであり、 が磁化(スピン)の向きを表している。一項目が2つのスピンの向きを揃える「強磁性」的な相互作用である。磁石では が大きいため、スピンが揃い合い、強力な磁場を作り出している。一方、二項目は「ジャロシンスキー守谷相互作用」と呼ばれるもので、スピンが直角になるように曲げようとする効果を与える(正確には、 平面に閉じ込める効果もある)。これらの競合の結果、スピンは螺旋構造を持つ基底状態になる(今回は2つしかスピンがないので注意)。これをカイラル磁性体と呼ぶ。ちなみにカイラル磁性体は磁場をかけることで多様なスピン構造を発現することが知られており、前問の楕円積分を使って解析的に解けることが知られている。