難問奇問数学自作問題54-楕円積分はいいぞ-

「以下の問いに答えよ(意欲のある人は(1)を見ずに)。

(1) 0以上の1以下の実数  { \displaystyle x} に対し、 { \displaystyle 1-\frac{x}{2}-\frac{x^2}{2}\leq \sqrt{1-x} \leq 1-\frac{x}{2}} が成立することを示せ。   

(2) 自然数  { \displaystyle n} に対し、関数  { \displaystyle E(x)=\int_{0}^{x}dt\sqrt{1-\frac{1}{n}sin^2 t }} を定義する。このとき、 { \displaystyle lim_{n\to \infty}\sum_{k=1}^{n} \left( E \left(\frac{\pi k}{2n} \right)-\frac{\pi}{4}\right)} を求めよ。」

 

ポイントは、挟み撃ちの原理と区分求積法。

 基本的には、(1)の結果を用いて挟み撃ちの原理により極限を求める。 { \displaystyle E(x)}第二種楕円積分と呼ばれるもので、文字通り楕円の周囲に関係する積分である。初等的な積分は不可能であるため、(1)のような近似を使うことになる。

 

楕円積分は色々なところで顔を出す。

・楕円の周囲

・振り子の周期

イジングモデル(スピンのモデル)

ハバードモデル(強い相関を持つ固体中の電子の量子モデル)

・カイラル磁性体の磁化(次の問題参照)

など、あげればキリがない。

ちなみに  { \displaystyle 1/n} の部分を母数と呼び、これが1になれば真円となる。