難問奇問数学自作問題52-半円の重心-

「 半径  { \displaystyle 1} の半円の重心について、以下の方針でそれぞれ求めよ。

(1) パップス・ギュルダンの定理を利用して、重心の位置を求めよ。

(2) 区分求積法を用いて、重心の位置を求めよ。」

 

ポイントは、

① モーメントの計算

② 長方形による分割

 

パップスギュルダンの定理は、マセた小学生は中学受験の裏技として知っているだろう。「平面図形Aを、Aと交わらない直線の周りに1回転してできる立体の体積は、(Aの重心の描く円周の長さ) { \displaystyle \times}(Aの面積)」という定理である。回転体の体積を求める際の検算に使えるので、大学受験でも裏技として使いたい。ただ、解答に使うのはやめたほうがいいかもしれない。ちなみに証明は十分高校生でも理解できる。

(2) では、姑息な手を使わずに重心くらい出したるわ!という問題。一般的な図形であれば「面積分」を使って重心の計算をすることになるが、今回のように軸対称な図形は軸方向の1次元の積分で対処できる。今回の例で言えば、半円の直径の垂直二等分線に沿った方向に長方形による分割を施す(積分で習った微小長方形のように)。このとき、各長方形は対角線の交点を重心とした、長方形の面積に比例した質量によるモーメントを持つ。この和を取とって極限(区分求積による積分)を取れば、半円全体のモーメントが得られる。